私の入試体験談

私は入試というものを一回しかしたことがありません。
その入試も、学校推薦の面接のみだったので、筆記の試験は一度もしたことがないのです。
しかし、その一回の面接経験が、なかなか大変なものだったので、ここにご紹介したいと思います。

もう二十年も前の話になります(と、改めて振り返ると、年取ったなあ、感じますが・・・)。
私は北海道の出身で、中学卒業後の進路は函館市にある工業高専を志望していました。
ご存じない方の為に少し説明しますが、高専というのは高等専門学校の略です。高校と大きく違うのは、五年制の学校ということです。つまり、中学を卒業してから五年間学校に通い、順調にいけば20歳で学校を卒業、ということになるのです。学歴的には短大と同じです。

その学校の面接試験は1月下旬にありました。北海道で一月下旬というと、だいたい雪が積もっています。20年前ならなおさらです。その日も雪が積もっていました。
試験には父の車に乗って行きました。父と、母と、高三の姉と、四人で行きました。姉はその頃授業が終わって、あとは卒業式を待つだけという気楽な身でしたし、私の住んでいた田舎では、函館は一番近い都会(ん?)でしたので、一緒についてきた、というわけです。
学校までは車で三時間弱かかります。雪道です。まあ、父にとっては慣れたものですので、雪道だからと言って特に心配はありません。実際、函館までの道中は事故もなく行きました。

しかし車以外のトラブルが発生したのです。
家を出て一時間ほど走った頃、私はハッとして叫びました。
「名札が付いてない!」
学生服に名札が付いていなかったのです。面接用にと、洗ったばかりの学生服を着てきましたし、私の学校の名札は両端に穴のあいたプラスチックの板を胸ポケットに縫い付けるタイプのものでした。母が縫い忘れたのです。

もう私はパニックです。頭の中ではもう不合格が決まったようなものです。どうしようとみんなであれこれ考えたのですが、結局、函館についてからホームセンターで適当なものを買って付けよう、ということになったのです。名前はもちろん手書きになります。
しかし私は心配でした。そんな、そこらへんで売っているような、しかも手書きで名前の書いた名札で面接なんか受けたら、落ちるにきまってるじゃないか!
もうずっとソワソワした気持ちでした。

さて、学校の近くにあるホームセンターで名札を買い、いざ学校へ向かおうと父が車を発進させたとき、今度は父が叫びました。
「うわーーー!」
後ろに座っていた私にはまるでわけがわかりません。父がブレーキを踏んだようです。しかし雪で滑って止まりません。
ガゴン!
という音とともに何かにぶつかるような衝撃がありました。

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